小池貞利(the dadadadys) x 谷口鮪(KANA-BOON) 対談




小池:では、まわしますか。ずいぶん昔にカラオケ一緒に行ったけど、鮪、めっちゃ歌うまいよね。
鮪:(小池)一曲も歌わなかったし、歌えよ。
小池:鮪には「シルエット」を歌ってもらったんだけど、俺はカラオケ無理!
鮪:自分の曲を歌うのなんて大サービスですよ。
小池:「歌うまー、音源のままじゃん」って。
鮪:自分もうまいじゃん。
小池:俺はうまいっていうより、説得力タイプだから。
鮪:うるさいわ。
小池:音程っていうより、説得力だから。
鮪:うるさい!俺にもあんねん一応。
小池:で、今日はどんな話をしようか?
鮪:決めときなさい!

小池:普段飲んでる感じで喋ろうか。どうですか最近は?
鮪:最近は対バンツアーが終わったからレコーディングして、あと楽曲提供の曲を作ったりとかしてた。
小池:じゃあ、インディーズバンドの人間として訊いていい?
鮪:いいよ、訊いて。
小池:そろそろ曲作りましょうとか、そういうのって頼まれるの?
鮪:メジャーの契約上何枚は作るみたいなのはあるらしい。俺はしらんけど。年に何枚とか。
小池:いまのところ言われてないんだ、優秀な鮪さんは。
鮪:優等生だから。ずっと曲作ってるし。
小池:まぁ逆に曲作る以外、楽しいことなくない?
鮪:ライブもめちゃくちゃ楽しいよ。
小池:あー、そっか。でもライブしてたら曲作りたくなるよね。飽きるじゃん。
鮪:飽きない。
小池:ええぇ、「ないものねだり」とか飽きてないの?
鮪:飽きてないよ、幸いに笑。
小池:嘘だよ!2014年でしょ、あれ。
鮪:2013。
小池:飽きてないの異常だよ。俺、すぐ飽きちゃうよ。
鮪:はははっ。でも飽きへんよ。ライブでやるとリアクションとかも違うし。
小池:違うんだ。俺的には血みどろになってほしいけどね、KANA-BOONのお客さんには。
鮪:血みどろで「ないものねだり」なんてやらんわ。ところでアルバムはどんな感じなん?
小池:じゃあ、俺の一番の推し曲いいですか。無理やり聴かせるんで。


---「らぶりありてぃ」を再生---

鮪:あっ、「らぶりありてぃ」だ。これ、なんでリアレンジしたの?
小池:前はラップだったんですよ。ラップと美メロとオートチューン使ってあんまり今のバンドがやっていない手法をとったんだけど、あんまり伝わってない感じがしちゃって。
鮪:まじ?
小池:だから、バンド好きが好きそうな感じに合わせてあげますよって。
鮪:偉そうに笑。なるほど、そういうことね。
小池:いわゆるギター・ロックが好きなひとに向けて作ったんだよね。
鮪:前バージョンからこの形にしたのが自分にとってのゴールなの?
小池:その質問インタビュワーじゃん笑。どっちもゴールかな。俺的にはラップっぽい形が最初はゴールだったんだけど。ごめんね、自分の話ばっかしちゃうんだけど。
鮪:いや、あんたの企画でしょ。
小池:今回、自分たちのフルアルバムのプロモーションで俺が愛してる鮪との対談だから。最初に誰と話すかって考えたときに、っていうか対談って鮪は誰と話すの?
鮪:えー、まずは友達じゃない?俺だったら貞ちゃんやろ、玉屋さん(Wienners)やろ、あと朝日(ネクライトーキー)とか。
小池:俺なんかと対談しないほうがいいんだけどね。
鮪:そんなことないよ。
小池:最近対談した?
鮪:してない。久しぶりかも。
小池:対談しない主義なの?
鮪:そんなことないよ。タイミングでもないし。
小池:事務所がうちの鮪に泥つけんなよって感じ?
鮪:泥つける奴があんたしかおらん笑。
小池:あんまり対談しているイメージがなかったから、久しぶりの対談がこれですよ。
鮪:いいね、楽しい。でも俺と対談してくれるのは嬉しいな。
小池:俺、友達少ないし笑。同じ年だとより少ない。Helsinki Lambda Clubとか。でもプライベートでしょっちゅう会うわけでもないし、たまに節目で会うぐらいかな。でもみんななんかさ、話それちゃうかもだけど、それぞれ個人のタームに入ってきてるじゃん。
鮪:うん。
小池:交友を広げる、バンドを広げるっていうより、個人で突き詰めるタームに入ってきてるというか。30半ばの年齢になると。
鮪:そうやな。それは分かる。

---ここで小池が少し暴走---

鮪:で、なんだっけ笑。「らぶりありてぃ」のゴールの話してたよね。
小池:そう、どっちも違う形のゴールでリアレンジしました。なんか俺さ、レコーディングしたあとに音源を聴きなおして、期限的に戻れない状態でコーラス足しておけばよかったとかいろいろ気づいてしまって、やり直せないことが歯痒いね。
鮪:俺、ないわ。もう完膚なきまでやるから。
小池:俺も完膚なきまでやってんだよ。やってるけどダメなんだよね。気にしすぎる性格かも。
鮪:あー。俺はミックス、マスタリングまで終えたらもうなんにもしたくない。終わったら終わり。悔いを残さない。はい次みたいな感じ。
小池:えー。まぁでも次に活かすしかないよね。
鮪:この曲を聴いて感じたけど良いメンバーに出会ったね。この不穏なギターはメンバー案?
小池:うん。
鮪:やっぱ一人じゃ出てこない案ってあるよね。この気持ちよさとかバランスとか。ダディーズの初期のときは感じなかったけど、どっかから良い人選でよい仲間なんじゃないかなと思った。
小池:でも、俺めっちゃメンバーにキレちゃうし。
鮪:癇癪もちだから笑。
小池:こんな良い演奏してるメンバーにずっとキレちゃう。結構言ってることがロジカルだし。コードとか詳しくないけど、展開とかに。「ロジハラ」しちゃうんだよね。ロジカルハラスメント。
鮪:初めて聞いたわ、ロジハラ。
小池:なんでこの展開でそうなるの?とか。それ言ってるときの俺、めっちゃ嫌だ。
鮪:嫌やなー。
小池:そういうことのぶつかり合いがバンドだって信じてるからいいんだけど、でも嫌だな。
鮪:でも、そういう主張と主張がぶつからないとね。
小池:鮪はある?
鮪:いまは曲を預けてみるってのはやってるよ。それぞれに任せて。

---「らぶりありてぃ」終盤を聴きながら---

鮪:この曲のゴールだなと思った。俺が客観的に聴いてて。
小池:艶っぽく歌えた。鮪から見たこの曲の評価は?
鮪:色気があるね。歌唱の説得力もあるし。
小池:だよね!嘘ついてなさそうでしょ。ついていいのに。
鮪:嘘つかんよね。
小池:でも鮪も嘘つかないよね。嘘ついてたらすぐ分かるじゃん。声色とか表情とかで。俺、盛ることはあるけど。
鮪:そこは近いかもね。嘘つきたくないポリシーと嘘つかないための自分作り。
小池:分かる。俺、鮪の歌詞とかは自分じゃ歌えないけど。俺、根の性格がマジで悪いし陰険だから。
鮪:陰険やな笑。
小池:俺、ほんとにひとが嫌がること、いくらでも言えるし。
鮪:言えるな笑。
小池:それを言うと相手も自分も傷つくから言わないけど。でも、鮪が言ってることはマジで自分に入ってくるんだよね。俺もこういう人間だったらなぁって。
鮪:無理やろ!
小池:無理だな笑。
鮪:うん。でも陰険さは大事やろ。ひとを形成するうえで。次なに聴く?

---「ホォリィ・嫉妬」を再生---

小池:「寝て起きて飯食ってうんこでりゃ上等じゃん人間」ってことが俺、最近一番言いたいことかもしれないっていう曲です。
鮪:はははっ。そういう年齢なのかもね。多くはそんなに語らないっていう。それだけでよい訳ではないけど。
小池:まぁ、実際はね。仕事とかあるし。根本はそうで、最低限ひととして生きるうえでこれはしとこうよっていう。でもそれ以外、結構な失敗をしない限り全然生きていけるじゃんって。
鮪:思いのほか大丈夫だよってのはあるよね。
小池:さっき聴いてもらった曲と、今から聴いてもらう「モォニンググロォリィ」って曲が推し曲で。Morning Gloryは俗語で朝勃ちって意味もあるけど。
鮪:そうなんだ。
小池:眠いのに起きれないって意味もあって。あと朝顔とか朝に関連している言葉で。
鮪:うん。
小池:で、俺が書いた「モォニンググロォリィ」は、世の中面倒くさいことばっかっていう。でも朝起きただけでも偉いじゃんって。仕事があって例えば朝7時に起きることとか。
鮪:偉いというかすごいなぁ。俺がこうやってミュージシャンという状況でさ、割と朝とか関係ない生活じゃん。この時間に寝て、この時間に起きるとか縛りもないし。規律に則った生活をしてないから。
小池:俺は社会人経験あるから、社会人目線で語れる人間なので。
鮪:そうだね。だから俺にはできない。

---「モォニンググロォリィ」を再生---

小池:どう?
鮪:カッコいい。
小池:この曲のカッコいいところを我ながら説明させて。
鮪:うん。
小池:まず、コードをいっぱい使うようになりました!
鮪:たしかに。「おっ!」となった。
小池:分かってらっしゃいますな笑。
鮪:あんまり貞ちゃんが使いそうにないコード進行だなと。
小池:俺、パワーコードとカノン進行しか今まで知らなかったから。それはほんとメンバーのおかげで。そんなメンバーに怒号を吐いてるんだけど。
鮪:最低やな。ロジハラもするし。
小池:最低だよ、ほんとにね。コード覚えてポップなパンクに。俺の好きなバンドにFRUITYっていうスカのバンドがいて、歌詞にも「フルーティーなウイスキーにスカしたフィルムノワールで月の終点行き」とか、そんな意味を入れたりして、サビは分かりやすくやって。想い想いの重めの朝っていう。鮪はロック・スターだからさ。
鮪:誰に言ってんねん。
小池:平日と週末のどっちが辛いとか分かってないでしょ?
鮪:分からんよ。
小池:ほんとは週末のが辛いから。
鮪:金曜日っていうこと?
小池:金曜日に「いぇーい」ってのも分かるけど、ほんとは平日より週末のほうがみんな楽しそうでムカつくんですよ。平日とか土日とかの観点って鮪はあんまりないでしょ?
鮪:自分の職業的にはないなぁ。でもやっぱ今日とか日曜じゃん。下北来て「あー賑わってる」って。
小池:俺、楽しそうな奴ら見てるとそもそもムカつくから。
鮪:ムカつきはせんけど、心地悪さはあるよね。
小池:そうだね、心地悪さ。実は平日ってみんな平等に仕事あったりで辛いこともあるじゃん。その平日を乗り越えて週末楽しいってみんなやってるじゃん。でも俺、週末に「友達と楽しい!」ってやってないから、だから逆に俺は週末のが辛いんですよ。
鮪:ほぉほぉ。
小池:で、この曲の歌詞はどうですか?
鮪:この曲もそうだけど語彙の源はどこにあんの?俺、いつも思うねんな。
小池:企業秘密だから言えない!
鮪:だよね。だから俺も今まで訊いたことがない。
小池:はい。ちなみに「セックスしよ、カンチ」って歌詞もあるんだけど。
鮪:そこらへんの文化あるよな。ほら、「セーラ服と機関銃」の「k.a.i.k.a.n」とか。
小池:俺、色んなカルチャー詳しいから!
鮪:うるせーわ。真顔で言うな!それはもうピュアに好きで?
小池:俺、好きなものめっちゃ研究したし勉強もした。でも今思うと勉強としてやっちゃうのはしゃばいなって思うけど、あの時があってそこから取捨選択ができるようになって。
鮪:そこらへん不思議やね。たぶん聴いているひともその凄さになかなか気づかへん。
小池:そうなのかなー。
鮪:自分の持っている語彙の多さとか広さとかのなかで、ちゃんと的確なやつをセレクトする能力が高いし。
小池:あと韻踏むのもただ韻踏めばいいって訳じゃなくて、辻褄もあってストーリー作りじゃん。へんな話曲作りって漫画家さんとか映画監督さんと一緒だと思っているから。それに合わせて音像の展開とか。曲作りっていかに歌っている歌詞に合った音像にできるかってのが大事で、そこが一歩でも違ったら俺ほんとにもう伝わらないって思っちゃうから拘ってるんだけど、さっきの話じゃないけど、ミックスしたあとに気づく。
鮪:なるほど。
小池:うわー、ここもっと伝えたいんだったらスネア上げないととか、音色変えないととか。でも手遅れなんだよなって。インディーズなのに締め切りあるから。
鮪:はははっ。でもインディーズだからって期限ないわけじゃないからね。
小池:あるんだよね。インディーズだから期限ないと思ってたのに。
鮪:リリースの締め切りはあるわ!ユーケーも。でも重きを置いてるポイントはより信憑性が増したというか。あと「これなんて言った?」っていう歌詞がひっかかるというか、だから歌詞見ながらもう一回戻して聴いて「なるほど」とか、そういうときにやっぱ適当なこと言ってないこのひとって。
小池:適当なことは言ってないね。まぁでも俺が言うカルチャーっぽいのって逆に聴くひとを選んじゃうから。いわゆる10人聞いて10人分かる語句を使ってないから「セックスしよ、カンチ」とか今更知っている若いひとはいないから、そこはなんか歯痒いけどでもそれが俺のやりたいことだからなって思っちゃう。
鮪:でもそのなかでもさ、これなんだろう、どんなひとなんだろうって思うひともいるし。
小池:それで繋がってくれると嬉しいけどね。
鮪:そのひとを知っていくみたいなことで、貞ちゃんを面白がってもらえれば。

小池:なんか対談っぽくなってきたね。
鮪:一応ちゃんとせなってあるからね。
小池:さすがだよね。さすが大御所だね!
鮪:うるさい!だってせっかくこういう機会があって。そのひとがバンドにとってどんなひとかって。
小池:どんなひとかって、それ分かるんだけど、でも失礼な言い方するとその程度の物差しで俺を測るなよとも思っちゃう。例えばそのひとが10cmぐらいの定規で俺が測られるとしたら、いや俺80cmだよって。勝手に10cmで測ってるひとが、わたしにはちょっと合わないってのが俺からすると納得がいかない。
鮪:同じ定規でないとって。
小池:だから80cmで見る努力を最初からしてって。俺は君が何cmでも君のことを愛す努力をするからって俺は思っちゃう。
鮪:これがどのぐらい伝わるかやけど。
小池:あー、でも鮪なんて伝わらないこと多い人生だったんじゃない?
鮪:うーん、どうかな?俺、伝わらないもどかしさとかはないかも。貞ちゃんほどちゃんとしてないし。
小池:でも俺、私生活はちゃんとしてないよ。音楽には真面目だけど。
鮪:貞ちゃんは音楽を作ったものをどう届けたいとか、どうしたいとか強い拘りがあるよね。俺は10cmの物差しで来るなっていう感覚はないから。
小池:10cmの物差しでも聴いてくれるならいいよってことでしょ。
鮪:うん。貞ちゃんは「もっと知れよ!」っていう怒り的なことなのか、「もっと知ったら楽しいよ」なのか。
小池:両方かな。楽しいもあるし、でもなんだろうな、これはほんとに雑な言い方をするともし80cmの物差しをお前が持ってきてくれる覚悟があるなら、俺とお前ってもっと仲良くなれるよなって。俺、中身が結構お花畑のところがあるから、対等に仲良くしようよって。べつに俺、アーティストになりたいわけじゃなくて、楽しくて自分が曲を作ってるから。お互いにもっと楽しもうよって。俺、友達いないし、いらないんだけどね。
鮪:友達の俺を目の前にして。
小池:でも、そんな俺が友達として鮪といるのはグッとくるでしょ?
鮪:うん、くるよ。
小池:いったん酒でも買いに行って、休憩しようかっ。

---コンビニに行くふたり---

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