山岡錬(the dadadadys) x 植野秀章(HOLIDAY! RECORDS) 対談




山岡:植野さんと対談ということで、今日は何から話そうかなと思ったんですけど、最初の出会いとか関係性みたいなところとか?

植野秀章(以下:植野):うんうん、なんで僕が呼ばれたかとかその辺から話せたらいいんじゃないかな。

山岡:昔、僕は関西でバンドをやってたんで初めて秀章さんと出会ったのって、それ繋がりでしたね。あれが2010年代後半あたり?

植野:さっきXで遡ったんだけど、suedollar yankee(スーダラーヤンキー)が2017年から2018年あたりだと思う。

山岡:はい、あのsuedollar yankeeというのは僕が昔やってたバンドですね笑。多分その前からなんですよね、前身バンドの24HOUR CONTROLっていう。

植野:その時に出会ってる。本当に全然覚えてないんですよ笑。もう7、8年前でしょ。

山岡:今回対談させてもらう人は、喋りやすいというか比較的フラットに喋れる人で、尚且つ、音楽に関係してる人と僕は喋りたいなと思って植野さんを選ばせてもらって。皆が知らない僕の過去の話をめっちゃ知ってるじゃないですか。どんなバンドをやってたとか笑。

植野:確かに笑。

山岡:その変遷の中で、今回出させてもらう新しいアルバムとか、今やってるthe dadadadysっていうバンドに僕がいるっていう見方が、秀章さんは違った角度で捉えてくれて、きっと面白い考えとか感想とか聞かせていただけたらなと思って。

植野:分かりました。まず俺が知ってる山岡錬ヒストリーは、24HOUR CONTROL、suedollar yankee、ギリシャラブで、ギリシャラブで上京したよね?

山岡:そうですそうです、ギリシャラブで東京出てきて。ギリシャラブも抜けて。ちなみに僕がtetoを知ったのはHOLIDAY! RECORDSがきっかけで。

植野:おーー、そんないいエピソードが。

山岡:だから、俺がダディーズにいるのも秀章さんのおかげなんですよね。

植野:いやめちゃめちゃ無理矢理じゃない?

山岡:無理矢理じゃない、ほんまに笑。だってそれでteto聴いてなかったらtetoを知るタイミングが違ったんじゃないかな。そのタイミングで対バンとかしたし。

植野:tetoと対バンしてたの?

山岡:してました。山岡ヒストリー抜けてましたけど、僕もう一個バンドやってて、Mississippi Khaki Hairというバンド。

植野:あっ!うわめっちゃ失礼やん、忘れてた笑。

山岡:その時にtetoと対バンしたんですよ。バレーボウイズとかもいたかな。

植野:豪華なメンツやな。

山岡:そうそう、下北沢THREEで。

植野:東京でやったんだ。

山岡:その時tetoのライブで俺がダイブして頭から落ちて笑。

植野:やば笑。

山岡:だから今ダディーズに俺がいるのは秀章さんのおかげだなと思ってる。秀章さんも昔バンドやってたんですよね?

植野:やってました笑。

山岡:HOLIDAY! RECORDS始めた経緯みたいなのを俺あんまりよく分かってなかったんですけど、バンドをやりながら、こういう仕事を始めたんですか?

植野:いや、バンドやってる時はまだHOLIDAY! RECORDSをやってなくて。バンドが活動休止してしばらくソロで弾き語りみたいな感じで活動してたんだけど、それも行き詰まって。バンド以外にやりたいことっていうのがCD屋さんだった。人に自分の好きなバンドをオススメするっていうのが昔から好きだったから、最後に自分のやってみたいことがそれだったんでやり始めたのが多分2014年とかで。始めた時はTHE FULL TEENZとか、そのTHE FULL TEENZ と仲良かったのがAnd Summer Club、さらにアンサマが仲良かったPost Modern Teamとか、LADY FLASHとか・・・。

山岡:今、関西の方が引っかかるようなバンドの名前があがりましたね笑。

植野:これを読んでる人あんまり分からないかもだけど、ぜひ掘ってみてください。

山岡:めちゃめちゃかっこいいんで。

植野:でも山岡錬はその関西のバンドシーンで育ったんだよね。

山岡:そうですね、でも基本俺はどこにも馴染めなかったんですけどね笑。

植野:どういうこと?人として?

山岡:人として笑。やっぱちょっと一歩ひいちゃう癖があって。

植野:あ、でもそのイメージはある。suedollar yankeeでやってたボーカル・ギターの大地くんのキャラが濃かったから、錬くんはどちらかというと会話になる人っていうか。

山岡:秀章さんがずっと乳首つねられてるところとかを僕はずっと見てましたし。

植野:ずっとっておかしい、いつもつねられてたみたいじゃん笑。

山岡:こういう大人もいるんだなあって当時は思ってましたね笑。

植野:他に僕どういうイメージでした?

山岡:秀章さんすごい人やって噂は聞いてて。04 Limited SazabysのGENさんが秀章さんがやってたバンドをめっちゃ好きだったらしくて、秀章さんが乳首つねられてる時「この人はGENさんが好きだったバンドやってた人だ」って思って見てました笑。

植野:それ俺じゃなくて04 Limited SazabysのGENさんがすごいんじゃん笑。

山岡:めっちゃおもろいなと思って見てました笑。

植野:いや、俺がやってたバンドは全然人気なかったんだけど、10年以上前にCD出して名古屋に行った時に04 Limited Sazabysがツアーに出てくれたんですよ。当時僕らのバンドを好きって言ってくれて、僕らの曲をコピーしてくれてた。いい話なのはHOLIDAY! RECORDSを始めて何年か後に04 Limited Sazabysと再会する機会があったんだけどちゃんと覚えててくれましたからね。

植野:HOLIDAY! RECORDS始めた頃、錬くん大学生でした?

山岡:俺ね、大学出てからバンド組んでるんで遅いんですよ。24〜26歳くらい?普通にフリーターみたいな感じでしたね、当時は。

植野:意外。俺がめっちゃ年上だったけど、今思えば友達みたいに皆すごい遊んでくれた。

山岡:秀章さん、ちゃんと構われるし、めっちゃ怒られたりしてましたもんね笑。

植野:普通に喧嘩してましたからね笑。

山岡:「あの紹介の仕方はあかん」って、周りにめっちゃ言われてましたね。

植野:でももうあんまり覚えてないんですよ、酔っ払ってたし。

山岡:なんかすごい近いひとでしたね、感覚とかも。歳が離れてるのは知ってたんですけど。秀章さんは大人なので合わせてくれてたかもしれないです笑。

山岡:ところで聴きました?僕らのアルバム。

植野:聴きましたよ。

山岡:どうでしたか?

植野:めっちゃ良かった。何から話せばいいかな。一番好きなのは「モォニンググロォリィ」。最初の2曲がかなり好きです。まず衝撃を受けたのは、僕はパンクが好きで、FRUITYっていうバンドも好きで、1曲目2曲目で明らかにFRUITYのオマージュを感じて。

山岡:はいはい。

植野:テンション上がった。今回錬くんと喋るにあたって、錬くんにそういうルーツのイメージがなかったから。どっちかっていうとUKのOasisとかThe Stone Rosesとか好きだったのかなって。

山岡:そうなんですよ、僕は正直あんまり通ってるところではなくて。FRUITYも名前だけ知ってるような感じだった。あの曲自体最初できた時に「なんじゃこりゃ」って思って。

植野:そう、どういう風に曲作りしてるのかなって気になったんですよ。

山岡:本当に何やってるか分からなくて、でも歌乗ったらめっちゃ説得力あって。そういう面白さを今回のアルバムですごく感じました。

植野:どこまで言っていいか分からないけど、曲作りって小池さんが大まかに持ってきてやるの?

山岡:そうですね。スタジオで合わせていく中で、その場で考えたこととかを繋いでいく作業を貞ちゃんがやっていってみたいな感じですね。

植野:へえ〜。で、自分もこんな感じかなって弾いてるけど全体像は見えてないんだ。

山岡:そう。見えてない。でも最後にバンって出されたのが「うわ筋通ってる〜」っていう驚きがありますね。

植野:聴いてて面白いし、いいなって思ったのは一回破壊して再生するみたいなよく聞くフレーズなんだけど、再生にも歪な感じをあえて楽しんでるみたいな面白さもあるし、それがすごいエネルギーを生んでるような気がするし。だから1曲目も2曲目も途中で別な曲にぶっ飛ぶじゃないですか。

山岡:ジェットコースターみたいな感じですよね。「あれ?レールなくなった?」みたいなところもある笑。

植野:確かに。ワープしてるみたいな。でも先に音聴いて歌詞見たら「フルーティー」ってフレーズがあって。

山岡:うん、そこもいいですよね。僕もめっちゃ好きですね「モォニンググロォリィ」。演奏していてもスポーツだったり、ゲームやってるみたいな感じなんですよね、太鼓の達人みたいな笑。

植野:うわ、おもろ。ジェットコースターで振り回されてる感じ。なんかシューティングゲームみたい。

山岡:秀章さん絶対好きですもんね、ああいう曲。

植野:うん、めっちゃ好き。RAZORS EDGEとかも思い出す感じ。

山岡:でも俺、昔と比べてめっちゃ今ギター弾いてません?笑

植野:どういうこと?笑

山岡:ギターのギターとしてめっちゃ弾いてるなって思うんですよ笑。

植野:いやそれは昔からそうですよ笑。

山岡:あ、ほんとですか!良かった、違うイメージがあったんですよ自分の中で。

植野:いや、でも、なんて言ったらいいのかな。確かにJANUSでthe dadadadysを観た時はギターヒーロー感がありました。いじってるとかじゃなくて。他のバンドとまた違うのは「弾き倒してんな〜」みたいな「うわっ、かっこいい〜」ってパートがあるからイメージがまた違うのかな。

山岡:ですよね。俺も思ってました、それ。

植野:いや本人が思うやつじゃない笑。

山岡:話題を変えますが、秀章さんってHOLIDAY! RECORDSでバンド紹介をする時に気をつけてることってあるんですか?

植野:あー。意外な質問だね。それは無茶苦茶あります。さっきsuedollar yankeeのX遡ってみたって言ったじゃないですか。そしたら僕がsuedollar yankee宣伝してるポストもリポストしてくれてるから目に入ってきたんだけど、恥ずかしくて見れないっていうか。当時はそれくらい何も考えずにやってたと思うんだけど。今何を気をつけてるかって言ったら結構むずいんだけど、まず基本スタンスとしては周りの人にオススメしたくて書くわけだから、そのバンドが僕が書くことで誤解されるようなことは書かないようにしてる。バンドへのラブレターを書くつもりで書いてますかね。



山岡:それが他の人たちに読まれて、それで聴いてくれる人がしっかりいるっていうのがすごいですよね。いまだにHOLIDAY! RECORDSでバンド知ること多いですもん。

植野:えーめちゃくちゃありがたいっすね。

山岡:ゴリラ祭ーズとか。めっちゃかっこいいなと思って。

植野:なんか昔は他のバンドの名前を使って紹介することを無邪気にしてたんですけど、ある時期から気をつけるようにしてて。

山岡:結構やりがちですよね。

植野:YouTubeのコメント欄とかね、書いてる本人は良い意味で言ってるつもりだったりするんですよね。

山岡:気づくきっかけがあったんですか?

植野:気づくきっかけはXで結構怒られたことがあって。安直に〇〇に似てるとはもちろん言わないし、結局「このバンドに似てるから聴いてくれ」ってことが言いたいんじゃなくて、「モォニンググロォリィ」を例にあげると、俺は「the dadadadysのこの曲のルーツにはFRUITYの存在がある」っていうのを言いたいだけであって。それは変わらないんですけど、言い方があまりにも昔は乱暴で短絡的だったんですよ。だから、どういう言葉遣いで伝えるかっているのはめちゃめちゃ気にしてます。

山岡:その話を聞いて、音楽やってる中でも近い考えがあるなと思った。それぞれルーツがあるわけじゃないですか。それをバンドは各々出していって、分かる人は分かるけど最後に完成するものはまんまそれではなくて。異様な形になるっていうのが一個の正解だと思ってて。そういう意味では今回のアルバムとか「モォニンググロォリィ」も多分そうなんですけど、異様な形になってるっていうところが俺は結構嬉しくて。アルバム自体もそれぞれのルーツが合わさってて。そのルーツを言ってくれるのはもちろん嬉しいけど、分からなくても単純にかっこいいって言っちゃうような作品になったなと思ってるんで。

植野:いや、そうだと思う。なんか訳わかんないけどテンション上がるとか、訳わかんないけどかっこいいがちゃんとあるアルバムだと思いますね。

山岡:ね、原始的というか肉体的というか。

植野:腕ぶん回したくなるっていうか、大声で叫びたくなるとか衝動を生み出す感じのエネルギーがめちゃくちゃ詰まってる。the dadadadys自体がそういうバンドだと思うんだけど。

山岡:実はめっちゃ体育会系なんじゃないかとか。全然そんなキャラじゃないですけど笑。

植野:ルーツでいうと、分からないくらい詰め込まれてるんじゃないですか。音楽に限らずいろんなカルチャーが。

山岡:ルーツって説明するところもあるし、説明しないところもあるじゃないですか、メンバー間でも。気付いてないところとかも結構多いと思います。そういうのも面白いですよね、後々気付いていくことが僕らもあるやろうし。初めて聴いた人がすぐ気付くところもあるだろうし。

植野:あー、そうですね、それが面白いんですよね。

山岡:そこが結構醍醐味ですね。

植野:さっきの話に戻すと、X上でバンド紹介について色々言われてた中でも、腑に落ちて勉強になった発言があって。僕が「〇〇に似てるとか言っちゃうと聴く側の想像力を奪っちゃう、聴く側の想像力を舐めてる」って書いてあって俺の中でなるほどと思って頭に残ってる。

山岡:褒めてるようで一個ハードルを立ててるような感じもしますよね。

植野:なるほど。

山岡:ちなみにこの対談、どう話を締めようか考えてるんですけど笑。真面目な話で締まってよいのかなって。

植野:もっとアルバムの話したほうがよかったですよね?

山岡:普段、こんな感じで二人で喋ることないじゃないですか笑。

植野:なかなかないよね笑。

山岡:いつも大体どっちか酔ってるから、真面目に話すとちょっと照れますね笑。

軽部(UKP):お二人のお話とても良かったですよ!

植野:僕自身がバンドをやってた時に好きだったルーツが詰め込まれている曲が多いアルバムなので、個人的に本当に好きなアルバムです。ぜひ聴いてほしいし、HOLIDAY! RECORDSで買ってください笑。

山岡:HOLIDAY! RECORDSでも取扱あるんですか?

植野:もちろんありますよ!

軽部:このアルバムとは別でremixアルバムも出してライブ会場だけで売ろうとしてるんですけど、その音源もHOLIDAY! RECORDSさんで扱ってもらいたいな。植野さんのレコメンドを読みたい笑。

植野:ぜひ!remixも聴いてみたいです。

山岡:すごっ!何年振りですか?俺、取り扱ってもらえるの。7,8年振りですよ。

植野:そんな風に言ってもらえるの嬉しいですね。ありがとうございます。HOLIDAY! RECORDSでぜひ買ってください!

山岡:今日は真面目な話ができて嬉し恥ずかしでした。次はお酒飲んで喋りましょ笑。

軽部:お二人の対談を聞かせてもらって、自分も会社の裏垢(UKPの裏垢)をやっていて。

植野:知ってます!

軽部:さきほど植野さんが話していた「バンド名を例えで出す」っていうの、Xを自分でやりだしてからすごく考えるようになりました。バンド名を出すと分かりやすいんだけど、書き方によってはそこで変に感じとってしまう方がいるのも分かるから、表現には気をつけているんですが、植野さんのバンド紹介の仕方がとても純粋で好きなんです。さっき言っていた「ラブレターを書くような」っていうのがめちゃくちゃいいなって。音楽やってる人からしたらそんな風に向き合ってもらえるのが一番嬉しい気がします。商業的な目線じゃなくて、個人の気持ちが入ってるから、それがきっとHOLIDAY! RECORDSさんが支持されてる理由なのかなって。

植野:嬉しいです。

山岡:植野さんの人間性が出てますよね。

軽部:そうですね。

植野:なんか思ってもみなかった内容の話になっちゃった。引き出してくれた気分です笑。

山岡:お話を聞けて良かったです。また大阪帰った時にでも!

植野:僕もまたライブ観に行きますね!




編集:軽部徹(UK.PROJECT) / 小山内紗菜(UK.PROJECT)